哲也の自宅に着いた。

足をひきずりながらだが、家のあちこちに手すりをつけ、それにつかまって歩くことは出来ていた。

「もっと早く知らせろよ」
「最初は足がカクってなってな、どないしたんか思って精密検査してもらってALS って分かったんや」

それから色々な話をした。

そこには、現役バリバリの医師の姿はない。

かつて哲也を取り巻いていた連中は潮が引くようにいなくなったという。

今は寝巻きを着た病人のおっさんだ。