幼いころから海外へのあこがれ

2019/07/28

幼いころから「大人になったら海外を飛び回ってみたい」と私は思っていました。父親が海外航路の船乗りで、何ヶ月に一度だけ帰国した港で面会する生活でしたので、きっと「ぼくも世界中を見てみたい」という思いが募っていったのかもしれません。

海外に行く仕事につきたかったので、英語を一生懸命に勉強しました。バイリンガル家庭でもなく、過疎地ともいえる田舎の島根県で育った私には、中学校でABCの発音から覚え始めるという遅いスタートでした。

大学を出て就職した会社でも残業が終わってから語学学校に通うなどの努力をして、その結果ロンドン、ニューヨーク、ブリュッセルでの駐在経験をさせていただき、そして出張で世界中を駆け巡るという、まさに夢に描いていた生きがいに満ちた会社員生活を過ごすことができました。

日本の通信機メーカーからアメリカ外資系に転職をしました。そして今から十数年前、40才の若さで早期退職を迫られました。会社員としての夢をかなえた私は「次にやりたいことは何だろう」と自問自答しました。子どもが好きで、人に教えることが好きな性格から「教育の道」に進むことを決心しました。

最初は、小中学生に勉強を教える学習塾を開業しました。そして数年前に通信制高校の学習センターをしませんか、というお誘いがありました。通信制に通う高校生は、テニスやゴルフのプロスポーツ選手を目指したり、家計を助けるために働きながら学んでいたり、あるいは人間関係に悩んで全日制高校を中退したり不登校の経歴があったり、それぞれが異なる環境の中で必死に頑張ろうとしているのが通信制高校の生徒でした。

「こういう生徒をサポートすることこそ、自分の天職なのではないか」そう思った私は、この仕事にのめり込むようになりました。人との関係で悩んできた生徒が多いですから、最初は不安だらけで緊張でこわばった顔で初日を迎えますが、最後の卒業式のときには皆が晴れ晴れとした笑顔で旅立ってくれますので「ああ、本当によかった」と心から生きがいを感じることができます。